水晶の探偵
「珍しいな。こういう場に高校生が来ることは」
男性は晶と響に交互に視線を移した。
どこか威厳の感じられる眼差し。
抜き目のないきちっとした姿。
政治家である、という事が一目で分かる。
香恵は慌てて口を開いた。
「桜庭高校の真古晶さんと桃乃薗学園高等部の守村響さんです。
晶ちゃん、響君、うちの父南城政人です」
父親……それならば、香恵や知也の態度にも納得がいく。
2人の交際を反対する張本人……
「こんばんは。真古晶です。
今日は友人のお父様のお招きでこのパーティーに参加させていただきました。
お会いできて光栄です」
ずっと考えていた、政人への初めの一言をすらすらと自然に言う。
続けて、響が口を開いた。
「守村響です。
父である守村理事長につれられてパーティーに参加させていただいています」
響の言葉に軽い反応を見せた。
「なるほど、守村さんの息子さんか」
少し微笑むと、言葉を続けた。
「お父さんとは大学の同期でね。
お兄さんとお姉さんには会ったことがあるが、君に会うのは初めてだ」