水晶の探偵


「珍しいな。こういう場に高校生が来ることは」


男性は晶と響に交互に視線を移した。


どこか威厳の感じられる眼差し。

抜き目のないきちっとした姿。

政治家である、という事が一目で分かる。


香恵は慌てて口を開いた。


「桜庭高校の真古晶さんと桃乃薗学園高等部の守村響さんです。
晶ちゃん、響君、うちの父南城政人です」


父親……それならば、香恵や知也の態度にも納得がいく。

2人の交際を反対する張本人……


「こんばんは。真古晶です。
今日は友人のお父様のお招きでこのパーティーに参加させていただきました。

お会いできて光栄です」


ずっと考えていた、政人への初めの一言をすらすらと自然に言う。

続けて、響が口を開いた。


「守村響です。
父である守村理事長につれられてパーティーに参加させていただいています」


響の言葉に軽い反応を見せた。


「なるほど、守村さんの息子さんか」


少し微笑むと、言葉を続けた。


「お父さんとは大学の同期でね。
お兄さんとお姉さんには会ったことがあるが、君に会うのは初めてだ」






< 23 / 50 >

この作品をシェア

pagetop