水晶の探偵

Page2 毒の在処



「被害者は南城政人、49歳、政治家。

スープを飲んだところ、突然酷く咳き込み、それを見た娘南城香恵がアイスティーを飲ませたましたが、少しして息を引き取りました。

被害者の口からアーモンド臭がしたので、死因はおそらく青酸系の毒による物だと思われます」

「わかった、ご苦労様。
守村君達がいてくれて助かったよ。
うちのバカは役に立たないからな」


男性の言葉に、思わず苦笑いする響。

彼の言う“バカ”は先ほどこってりしぼられていた。


「三田村警部はどう思いますか?」

「“どう”とは、何かね?」


男性―――三田村は質問に質問で答えた。


「犯人の動機、及び犯人は誰かです」

「動機…か。
今のところ南城政人と対立していた政治家辺りを調べてる。
特に同政党内でな」


政人は政治家だ。
仕事関係のもめ事からの犯行と見るのが妥当だろう。

しかし、今回は少しばかり状況が違う。

響の頭の中には一番考えたくない人間が犯人として浮かんでいた。


「一応今一番疑われているのは、北宮和也と息子の知也だ」





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