水晶の探偵


「そこまで考えてるってことは、北宮知也と南城香恵の関係については…」

「あぁ、2人がそういう関係だったことは調べが付いている。

2人の交際を南城政人が反対していたこともな。
度々、そのことで南城政人が娘の香恵や北宮知也がもめることが合ったらしい」


だがな…いったん言葉を切り、頭の中で推測をまとめる。


「南城香恵が父親を殺したとは考えにくい。

北宮知也とのことがあるまで、南城政人は自分の子供の中で彼女を一番可愛がっていたうえ、彼女自身も彼に懐いていた」

「それは何の推理にもなりませんよ、三田村警部」


冷静に言い放つ響。

香恵が父親である政人をたかが恋人のことで殺したとは考えたくない。

しかし、それがありえないとするのは論理的でないのだ。


「スープ及び、アイスティーを持ってきたのは南城香恵です。

毒を入れられる可能性が最も高いのは彼女だ。

それを根拠のない推測で否定することはできません」


人間は恐ろしい生き物だ。

人には見せない一面を持ち、それは時には命までもを奪う。

だからこそ、真実を見極めるためにはきちんとした論理的根拠が必要である。



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