あの日みた月を君も
「じゃ、とりあえずカスミちゃん、だっけ?天体観測部の今後の予定と実際行う内容を僕から簡単に話するよ。」

「よろしくです。」

カスミはかわいらしく、ペコリと頭を下げた。

2人とも、私の方には目もくれないで話し出した。

な、何なのよ。

嫌な感じ。

2人にお前はもう用なしだ、なんて言われてるみたいじゃない。

お膳立てしてあげたのはこの私だってのに。

なんだか胸の奥で腹立たしい気持ちと、やるせない気持ちがぶつかって吐きそうになる。

「じゃ、私はこれで。」

2人に聞こえるか聞こえないくらいのつぶやくような声で言うと、その場を逃げるように立ち去った。

なんだろう。

このモヤモヤ感。

カフェの外に出る時、2人の方を振り返った。

2人は顔を見合わせて笑っていた。

さっきまでそこにいた私の存在はまるでなかったかのように。

カフェを出て、急ぎ足で駅に向かう。

カスミを見て口元を緩めているヒロの顔が、いつまでも私の頭から離れなかった。

ショウコ!

どうして、今日はあなたもいてくれないのよ。

それに、ヒロが私を好きだなんて、そんなことやっぱり絶対あり得ないんだから。

変な期待持たせるようなこと言わないでよね。

今度ショウコに会ったら、真っ先にそう言ってやろう。

そんなことを思いながら、なんだか泣きそうだった。

今の私って、馬鹿みたい。

改札を抜けると、電車はしばらく来なかった。

駅のベンチに1人座ると、ますますやるせなくて、中学時代の友達に手当たり次第にLINEを送った。

友達、・・・できるのかな。




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