あの日みた月を君も
隣に座っていたカスミも3人組みを目撃したらしく、

「さっきの何?感じ悪いわね。」

と言ってきた。

「どうやら、大山くん目当ての女子が、私達が制作する映画を偵察にきてるらしいよ。」

「ふぅん。」

偵察にきたからって、何かあるわけ?

ヒロといえば、必死に稽古に励んでるし、偵察してる人間がいることすら気づいてないみたいじゃない。

「リョウはちょっと気をつけた方がいいかも。」

カスミが少し声のトーンを落として言った。

「大山くんとラブシーンがあるって、もっぱらの噂よ。」

「ラ、ラブシーン?!」

思わず目を見開いてカスミの顔を見つめた。

ラブシーンっていうほどじゃないし、何よ、そのいやらしい表現は!

私がラブシーンって言った声が聞こえたのかヒロと目が合ってあわてた。

はぁ。

面倒臭いことになってきたなぁ。

やっぱりカスミに交代の交代してもらうべきだった。

思いきり頭を下げてうなだれた。

「そんなくだらない女子はほっとこう。大丈夫よ!私はいつでもリョウの味方だし!」

カスミは私の肩を抱いて、笑った。

なんていうか。

カスミとここまで親しくなるとは。

なんとなくキャラが違うから敬遠してたんだけど、今はそれなりに頼りになる友達になってるような気がしていた。

私は力なくカスミに頷くと、また稽古している仲間の方に顔を向けた。
< 46 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop