さくら 咲け
「こ、こっち!」
突然すぎて何も考えられない。ひとまず、人がいないところ。
...昨日の、踊り場を目指す。
「あのね、圭介くん。」
着いたところで、ずっと私の後ろで着いてきていた圭介くんに振り返る。
圭介くんは、変なところで止まったうえ、妙に深刻そうな顔をしている私に動揺してるんだろう。頭の上にはてなマークが浮かんでる。
「まず、ごめんなさい。本当は、用事なんてないの。」
「え??」
嘘をついたままも嫌だから、先に言っちゃった。
「圭介くんを、ここに連れてきたのは、私の個人的なお願いの為で...」
「う、うん。どうしたの?」
私の次の言葉を待つ圭介くん。仕事中に抜け出した私に、怒ってなんかいないんだろうな。
「あのね、
──圭介くんが、好きです」
言った。言ってしまった。
目を見て、言えた。
「え、と...」
突然言われた圭介くんは、さっきよりも動揺してるみたい。
「返事、もらえる?」
急かしてごめんね。私は、早く決着つけないとダメなの。前に進めないの。
沙奈に、顔向けできないの。