さくら 咲け
「え、と...突然のことでビックリしちゃってごめん。
とりあえず、ありがとう。」
まずお礼を言う圭介くん。誠実で、優しい圭介くん。
「それで......ごめん。」
うん。
「多分、林間学校の時に言われたなら、付き合ってた。OKしてた。
でも、」
うん。
「沙奈さんに会って。人柄とか、性格とか、考え方とか、麻奈さんを思う気持ちとか、笑顔が可愛いなとか、色々見てきて。
沙奈さんが、好きだって、思った。」
「うん。」
「だから、ごめんね」
うん。大丈夫だよ。いや、大丈夫じゃないけど。
自分に告白してる人に、自分の好きな人のことなんか、言わないよ、普通。
沙奈も、圭介くんも、どっちも変だ。
それでどちらも、とっても素敵で優しくて、
大好き。
「私こそありがとう。すぐに返事くれて。
てか、沙奈はそんなに私の話をしているの?」
「うんうん、してるよ。
その話をする度に、麻奈さんのこと大好きなんだなぁって、伝わってくる。
僕じゃ勝てないよ。」
そんなわけないよ、圭介くん。沙奈はいつしか、選ぶんだから。私よりも、圭介くんを。
「戻ろっか」
「うん」
「あっ、そうだ私本当に予定あるんだった!」
「え?手伝う?」
「ううん、大丈夫。
一応花穂ちゃんに伝えといてくれる?」
「わかった。」
沙奈に、伝えなきゃいけない。