愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
軽やかに舞う私たちを見つめる、大勢の目。
どう見ても、若い女性の数が多い。

「皆、奏多さんの結婚相手の候補なの?彼女たちの視線が刺さるんだけど」

奏多さんに尋ねると、彼はふと周囲を見てから私に視線を戻す。

「そうだろうね。順番に紹介されたらたまらないよ。顔と名前すら一致しない。逃げたくなる気持ちがわかるだろ?確かに視線が怖いな。目が合うと捕まりそうだ」

彼の言い方に、可笑しさがこみ上げる。

「ふふっ。でも、中にはタイプの人がいるかもしれないじゃない」

「たとえそうでも、あの中から探す気にもならない。彼女たちの目的は会社だろうから。今の俺には、瑠衣しか見えてないから。君が一番大切だ」

彼の言葉の意味は、虫除けに私が適任だということだ。
都合よく勘違いしたりはしないつもりでいるけど、胸は高鳴っている。

「俺自身を理解してくれてるのは、瑠衣だけだと思うよ。君の前では、俺は一番素直でいられる」

「奏多さんと話してると、ドキドキしてしまうわ。勘違いする言い方はやめてと言ったのに」

ターンをして身体を回す。

彼のほうを向いた瞬間、私は彼にギュッと抱きしめられた。
足の動きが止まる。

「奏多さん……?」
「俺は前に、勘違いしてもいいと言ったよね。……こうすると、もっとドキドキする?」

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