愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「明日は休みだから、時間は大丈夫だよね?」

「ええ」

話しながら久しぶりに、例のダックスフンドのような奏多さんの車に乗った。

「ワインでも飲む?」

ほの暗い照明で照らされた車内は、外見以上の広さだ。
座り心地のよいソファシートの横には、ワインセラーが備え付けてある。

前に乗ったときは余裕がなくてわからなかったが、中央からぶら下がっている小さなシャンデリアが、キラキラと光っていた。

「贅沢な車ね……。奏多さんと会わなかったら、一生乗ることなんかなかったわ。無駄に大きなダックスフンドみたいな車だな、なんて思ってた。中はゴージャスなのね」

キョロキョロしながら言うと、彼は可笑しそうに笑う。

「はははっ。ダックスフンドか。だけど誤解しないで。これは死んだ父さんの趣味だから。俺は派手な装飾に興味はないよ」

ワイングラスを差し出され、とっさに受け取った。

「ワインなんて、普段は飲まないから味がわからないわ。私が飲むのはもったいないわ」

高級なものだとしたら、味がわからないのは失礼かと思い、遠慮する。
グラスを返そうとしたら、彼はそれを遮った。

「俺もそんなに飲まないよ。ただ、ここにあるから」

言われてグラスに口をつける。初めて飲む高級ワインはほんのりと甘く、喉が乾いていたせいもあり、私はグイッと飲み干した。



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