愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
私とともに部屋を出たスタッフのあとに続き、船内の廊下を歩く。
左右に無数の扉が並ぶ光景は、ここが船の上であることを忘れそうな、地上のホテルとなんら変わりない造りになっていた。
しばらく歩くと、彼女はあるドアの前に止まりノックした。
「月島CEO。瑠衣さまの準備が整いました」
「入って」
中から奏多さんの声がして、彼女はドアを開けてさっと横にずれる。
「では私は失礼いたします」
深々と頭を下げたままドアをそっと閉めて、彼女は立ち去り、ここにいるのは私だけとなった。
窓のそばに立ち、海を見つめていた奏多さんが、ゆっくりと振り返る。
「奏多さん……?」
私を見たままなにも言わない彼の表情は、驚きに満ちていた。
「……驚いた。最高だよ」
一言だけ言うと、彼は私に向かって歩いてくる。
目の前まで来た彼を見上げると、優しい微笑みを湛えた彼と目が合った。
「こんなに大胆なドレスは初めてで、ちょっと困る……」
私が言うと、彼は私の唇に人差し指を当てる。
「文句は言わない約束。綺麗だから結果オーライだろ」