きらい、大きらい
「足くじいたか?じゃあ保健室行って、場合によってはそのまま病院だな」
呆れたような言い方をして私から手を離すと、その手は今度は芽衣の腕を肩に回させ、体を支えて歩き出す。
「じゃあ私、芽衣の鞄とってきます」
「悪いな、頼む」
そのふたりと離れ、私は足早に教室へと戻った。
……心配、してくれた。
掴まれた腕が、少し熱いよ。
『無理すんなよ』
そう、自然にかけられた彼の言葉が、嬉しい。
……とか、思ってしまうのはどうしてなんだろう。
胸にこみ上げる、説明のつかない感情に、胸はぎゅっと締め付けられる。
余計なこと考えてないで、鞄……。
着いた教室で、紺色の芽衣の鞄を手に取ると早足で保健室へと向かった。
そしてやってきた保健室前でドアへ手をかけると、中からはふたりの声が聞こえた。
様子を伺うようにドアを小さく開けて中を見る。
するとそこには、椅子に座る芽衣をしっかりと抱きしめる青木先輩の姿。
驚きと戸惑いからか、心臓がドキッと嫌な音を立てると同時に、これ以上踏み込めない、とそのまま固まってしまう。
ふたりは、そんな私に気付く気配はない。