人間複製機
「そんなの、教えると思うか?」


「教えないなら複製機を返さない。弘樹があたしを襲ったっていうデマもそのままだよ」


我ながら卑怯な人間だと感じた。


でも、ここで折れるわけにはいかないんだ。


「そんなにあの複製機が欲しいならマキにやるよ」


「えっ?」


予想外の言葉にあたしは目を見開いた。


「でも、人間の複製方法を知りたいなら……」


弘樹があたしの腕を掴んで引き寄せた。


「1日、俺の女になれよ」


その囁きがすぐ近くで聞こえて来たのだった。
< 121 / 211 >

この作品をシェア

pagetop