人間複製機
☆☆☆

あたしにとって地獄のような時間があと5分で終わる。


ここへ来てから弘樹はずっとあたしに触れていた。


今も弘樹はあたしの肩を抱いたままだ。


夕飯も取らず、電気もつけずに弘樹はひたすらあたしだけを見ていた。


「そろそろ時間だから説明しようか」


弘樹の言葉に心臓がドクンッと跳ねた。


この瞬間を待っていたんだ。


「あの機械で人間を複製することは可能だ」


「……本当に?」


「あぁ。俺が一緒に歩いていた子も、マキを複製した子だった」


やっぱり、そうだったんだ!


あたしは自分の口元が緩むのを感じた。


「複製の方法は?」


「複製したい人間の髪の毛や爪。DNAが入っている何かを箱の中に入れてスイッチを押せばいい」


髪の毛や爪。


そんなもの、教室にいくらでも落ちていることだろう。
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