人間複製機
当たり構わず欲しい欲しいと連呼して怒られた事も、何度もある。


それでもやめられないのだ。


手に入れれば本当にこれが欲しかったのかどうかもわからないのに、手に入れるまで粘ってしまう。


それは幼い頃の自分そのままの姿だった。


お菓子を買ってもらうまでだだをこねた。


お店の床に寝転がり、両手をバタバタさせて泣き叫んだ。


そんな記憶をまだ鮮明に思い出すことができた。


「せめてアルバイトができればなぁ」


あたしはひとりごちる。


あたしだって、だだをこねているだけじゃないんだ。


自分でどうにかしようという努力をしている。


けれどどうにもならないときがある。


あたしはスマホをポケットにしまい、ため息を吐き出したのだった。
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