人間複製機
☆☆☆

それから20分後。


みんなが登校してきたのを見計らい、あたしは女子トイレから出た。


すでに教室の前には人だかりができていて、写真を見て騒いでいる。


「みんなどうしたの?」


あたしはクラスメートの背中へ向けて声をかけた。


振り向いたその子は好奇心を剥きだしにした表情をしている。


「見てこの写真やばくない!?」


興奮気味にそう言われて、あたしは首を傾げながら一歩前に出て写真を確認した。


我ながらよく撮れている写真だ。


「これってナオ?」


あたしはわざと大きな声でそう言った。


「そうだよ。絶対にナオだよね!」


「この男の人は誰だろ?」


「彼氏ってこともなさそうだよなぁ。オッサンだしさ」


「でもホテルから出て来てるよね?」


「それってやばくない?」
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