人間複製機
陸人が驚いたように顔を上げたけれど、あたしはその手に更に力を込めた。


「昔はこうしてずっと一緒にいたよね」


「……そうだな」


「2人で1つ。みたいに思われて、あたしたち本当に仲が良かったよね」


そう言いながら、ナオの顔を思い出していた。


それなのに途中から現れたナオが邪魔をしたのだ。


本来なら陸人はこうしてあたしと一緒にいるべきだったのに。


「あぁ。マキと一緒にいると落ち着く」


「そりゃそうだよ。だってあたしたちお互いの事をなんでも知ってるもん。小さい頃一緒にお風呂に入ってたから、あたしは陸人のホクロの位置まで知ってるよ?」


そう言うと、陸人は小さく笑った。


「そう言われれば、俺もマキのホクロの位置を覚えてる」


「そうでしょ?」


「あぁ。こんなに近くに安らげる存在がいたのに、どうして気が付かなかったんだろう」
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