人間複製機
冷たい声でそう言った。


「あの複製機を返せ」


「何言ってんの? あれはもうあたしの物よ」


「悪用するなら返してもらわないと困る」


「前も言ったけど、あんただってあの複製機を悪用してたじゃん」


「人の人生を踏みにじるな」


「あんた何様のつもり?」


あたしはうんざりして来てため息を吐き出した。


弘樹はあたしと同じくらい最低な人間だ。


それなのにあたしに説教して来るなんてなにを勘違いしているんだろう。


「あの機械はあたしの物よ。でも使いたいなら考えてあげてもいいよ? 1回使う事に1万円支払ってくれればね!」


あたしはそう言い放ち、大股で歩き出したのだった。
< 195 / 211 >

この作品をシェア

pagetop