人間複製機
☆☆☆

一分後、複製機が音を立てて動作を止めた。


あたしはワクワクした気分で蓋を開ける。


中には小さな弘樹がいるはずだった。


それなのに……。


箱を開けた瞬間異臭が鼻孔を刺激した。


それは複製された人間が溶ける時のあの匂いだった。


あたしは鼻をつまみ、箱の中を確認する。


箱の中にはドロドロに溶けた液体があるだけだった。


「なにこれ、失敗?」


そう呟いた時だった。


液体がグネグネと動き出したかと思うと、自分から箱の外へと這い出して来たのだ。


まるでスライムが1人でに動いているようだ。
< 197 / 211 >

この作品をシェア

pagetop