人間複製機
☆☆☆

「本当は短期間に沢山の人を複製しちゃダメなんだ」


近くの公園のベンチに座り、俺は柚香にそう説明をした。


「そうなんだ?」


「あぁ。複製機の中に人々の残像が残っているから、それが恐ろしい魔物を作り上げる事がある。特に複製する側の人間が悪意に満ちていればいるほど、魔物を作り出す力も強くなる」


「複製機を悪用しちゃいけないって、そう言う事なんだね」


柚香はそう言って小さくため息を吐き出した。


「あたし、弘樹とマキは付き合ってるんだと思ってた。でも、そういう秘密を共有してたんだね」


「あぁ……。全部俺が悪いんだ。複製機の事をマキに話したから……」


そう言うと、柚香が立ち上がった。


「今はマキを助ける事を考えよう。ナオたちのことも助けてあげなきゃ」


「そうだよな。でも、どうすれば……」


「簡単だよ。ナオたちに本当のことを話すの。それで協力してもらう」


その言葉に俺は真っ直ぐに柚香を見つめた。


柚香も迷いのない目をしている。
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