愛しのエマ【完】
図書室は常連さんが多い。
新刊は入らないけれど
読み終わった本をそれぞれが寄付してくれるので、それなりに本棚もにぎわっていた。
静かなランチを食べながら
本好きが集まる場所。
お誘い回避の為に使ってすいません。
コソコソといつもの端っこの場所に座り、お弁当箱を広げると
「エマーーーー!!!」
「ぎゃーーーっ!!」
ぎゃー!って
生まれて初めて叫んだ気がする。
背中から大きな声が聞こえた瞬間には
もう、私の身体は副社長に包まれていた。
柔らかそうな前髪が私の首筋に当たり
前回と同じく
強い力でギューっと背中から抱きしめる。
油断したぁ。
「ふっ……副社長!」
「エマ。僕のエマ」
「違います!」
もがきながら
なんとかその身体から離れると
周りの目が……冷たく怖い。
「ごめん。急に君を見つけて……心と身体が止まらなかった」
申し訳ないアピールする副社長だけれど、突っ走り過ぎでしょう。
それより
せっかく昼休みを使って
自分の好きな時間を過ごしている人達の目が怖い。
「ばっ……場所変えましょう」
お弁当箱を持ち
私はグズグズする副社長を引っ張り
図書室をコソコソと逃げるように出る。