愛しのエマ【完】
仕事は彼の抱き枕


そして一週間後。


「宮本さんちょっと」
課長に手招きされ
私は緊張してデスクを立つ。

なんだろ
ミスはしてないと思うんだけど
別の急ぎの仕事かな?

難しい顔してるな課長。
私、何かしました?
貧乏だけど
会社の備品には手を付けてませんよ。

「何でしょうか?」
恐る恐る聞いてみると

「社長が呼んでるから、行ってくれる?」

「社長ですか?」

「うん。社長秘書から、宮本さんがひとりで来るように指示された」

私より課長の顔色の方が悪い。
部下の失敗は上司の失敗。
いや失敗は……してない……はず。

何かやらかしたかしら
ひとりで……って怖い。
手汗かきそう。

社長命令に逆らえないので
私は不安で胸をいっぱいにして
エレベーターに乗って重役フロアへ向かった。

エレベーターが静かにフロアへ到着すると
副社長室で食べた、うな重を思い出す。

美味しかったな。

あれから副社長も忙しいのか
会社でお会いしてない。
平和だけど
ちょっと寂しく思うのはナゼでしょう。

綺麗な秘書さんに取り次いでもらい
私は初めて社長とツーショット。
緊張で足が震えます。

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