愛しのエマ【完】

「これはダメです。サボりですよ」

「サボり……懐かしいですね」

真面目に言っても笑ってるし
副社長は私の肩を抱き
エレベーターの密室に入ると
すぐギューっとまたハグ。

「奈緒さんに抱きつくと安心する」
甘い声で耳元でささやかれると
抵抗できません。

もう
どうにでもなれ。

副社長の外車に乗り込んで
高級ショップ巡り
こんな時しか入れないから
目の保養にさせてもらおう。

やっぱり高い服って
生地も縫製も違う。
さすが
シャツ1枚が20000円の世界。

副社長はそこのイタリアブランドの服を何枚か買って満足そう。

買い物はストレス発散できるよね。
副社長が楽しいなら
それでよし。

数件回って買い物をして
「ここでラスト」と、もう1件。

そこは天井が高く
ベージュを基調とした
落ち着いた品格あるお店。

女性用ばかりだね
エマさんにプレゼントかな。

副社長は店長さんらしき上品な人に指示をして、数着選んでもらい、チェックしながら笑っていた。

離れて見る副社長の姿は目を惹いた。
お世辞抜きで
背が高くてイケメンで
本人の性格なのだろうか、明るく優しく人懐っこい。誰からも好かれるタイプだろう。
とても魅力的だ。


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