愛しのエマ【完】
私
宮本奈緒(みやもと なお)25歳。
医療機器を扱う会社
(株)AOKI 総務課勤務。
家族の反対を押し切り
都会で就職を決め
ずっとずっと憧れていた
都会でのひとり暮らし。
親は姉と妹と同じく
地元に帰って就職を希望してたけど
私は帰りたくなくて
反対する親と半分ケンカしながら家を出た。
おっしゃれーなマンション
革のソファに北欧風の家具
朝はグラノーラ
淡いオレンジ色した背の高いライト。
そんな部屋に憧れていたけれど
現実は厳しかった。
いくら有名企業といえど
手取りは決まってる。
靴ズレができるほど
不動産屋さんのおじさんと街を巡り
おじさんは
「若い子は遊ぶお金も必要でしょう。だから家賃を無理すると後から大変なんだよ」と、アドバイスをして部屋を紹介してくれたけど
おじさんオススメのお部屋は
広くても畳だったり
お風呂のタイルが実家と同じだったり
バストイレ別でも
トイレが和風だったり
ごめんおじさん。テンション下がる。