アウト*サイダー

 素直に受け取って鼻を拭いていくが、見えていない分まだ取れきれていない。じれったくてなって渋々ケイの隣に戻り、汚れてしまった所を拭いていってやる。

 ほんと、ケイのこういう子供っぽいところに私は弱い。母性本能というものなのか。

「ハスミ、お母さんっぽいね」

「……こんなムッツリスケベ、産んだ覚えない」

 どうせ軽口で返されるだろうと何気なく言ったが、ケイが黙ってしまうから手を止めて表情を窺う。

「ケイ……?」

「……ごめん。いや、別にハスミをただそういう風に見てるんじゃなくて、純粋……な恋だよ? でも、その、俺もやっぱ男だから、好きな女の子の、あ、ああいうの見せられたら……それだけじゃいられないっていうか、だから……」

「いい。もう言わんでよろしい」

 口封じのようにティッシュを鼻の中にねじ込む。

 痛がるケイだけど、されるがままだ。

 そんな不細工なケイに笑いが込み上げてきて、我慢出来ずにお腹を抱えて涙が出るほど笑っていた。彼も私につられて笑いだす。
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