アウト*サイダー

 顎に手を当てて真剣に考え出すケイの横顔から向かいの窓に目を向ける。

 流れる景色に雨が斜線を描いた。

「もしかして、カレー甘口?」

「カレーじゃなくてハヤシライス派です」

「俺、シチュー派」

「興味ない」

 ヒントは終わり。

 車内アナウンスで私の降りる駅の名前が流れた。

「さ、答えをどーぞ」

「んん……じゃ、ハンバーグ!」

「ハンバーグね? 分かった。それじゃ、次の駅で降りるから」

 鞄を肩にかけて立ち上がる。つり革を持って振り返れば、ケイが上目遣いで私を見上げていた。

「ハスミ……あのさ、聞きたいんだけど」

 窓にはもう沢山の雨粒が伝っている。

 少し先に駅のホームが見えた。

「なに、どうしたの?」

「……何でサッカー部の見学来てたの? もしかして、誰かのこと好きなの? それで俺のこと振ったの?」
< 30 / 466 >

この作品をシェア

pagetop