シンシアリー
翌日の夕方。
ユーグはセイヴィアーとの「約束」どおり、夕食を食べに両親の家へ行った。
そのとき父親のセイヴィアーから、レティシアの腕のことを聞いたのだった。

「・・・何故俺に話してくれたんですか」
「おまえが気にしていたんじゃないかと思ってな。言っておくが、指痕はほとんど消えていたそうだから、一日経った今頃は、もう痛くないはずだ」
「それだけじゃないでしょう」
「何がだ」
「俺に話した父上の真意は」
「・・・姫様は、大公様には絶対言うなと言ったからな。おまえには言っても構わんと判断したまでだ。先も言ったように、腕の怪我は大事に至ってないしな」

数秒俯いていたユーグは、椅子から立ち上がると「帰る」と言って、両親の家を出た。

< 159 / 365 >

この作品をシェア

pagetop