シンシアリー
「ヘルメース公子」
「なんだい」

カーンと言う鈍い音が、また響いた。

「貴方は何故、剣術を習いたいと思ったのですか」
「それはもちろん、体を鍛えるためさ。僕は男だし、次期大公になるんだからね」

周囲は暗くなっていたが、それでも優しく微笑むヘルメースの顔が、セイヴィアーにも見えた。

・・・何という底意地の悪い笑みだろう。だが、この笑みに、大公様は惑わされているのだよな・・・。

「母上には止められたんだ。今夜は行くな、危険だって。でも、男の僕が“首切り”の餌食になるわけがない。むしろ、元娼婦だった母上の方が危険ですよと言ったら、母上、少々立腹してたな」
「公子様。貴方は女性を少々蔑視しているようにお見受けしますが」
「僕が?そんなことないよ。ただ・・・いや。いいや」

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