シンシアリー
「これはこれは。ヘルメース公子ではありませんか」
「ベイルさん」
「このような夜更けに一体何事ですかな?」
「剣の練習をしてるんだ。最近あなたはずっと“事件”にかかりきりだからさ。一人でやるしかないだろう?」
「然様でしたか。放置をしてすみません」
「ねえベイルさん。今から手合わせしてよ」
「・・・喜んでお手並み拝見させてもらいましょう」

剣を合わせる「礼」をした二人は、お互い一歩後退した。
そして構えを取る。

「少し見ない間に上達しましたな」「そうかい?」といった辞令的な会話の合間に、剣がぶつかりあう鈍い音が周囲に響く。
しかし、南にあるこの平原の近くに、民家は一軒もない。

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