シンシアリー
図書室に着いたレティシアは、「ガガーリアン戦記」の第7巻を元の場所に戻すと、その隣に鎮座している第8巻を、棚から取り出した。
第6巻をナサニエルに返さなければ・・と思いながら、自室に向かって歩いていたレティシアは、そのときセイヴィアーのことをふと思い出していたこともあり、周囲には目もくれずにぼんやりと歩いていた。
しかし、前方から歩いてきた異母弟・ヘルメースが、少しふらつきながら歩いていることくらいは、すぐに気がついた。
レティシアは、ヘルメースの方へ足早に駆け寄った。
「ヘルメース。大丈夫?熱があるんじゃない?」と言って、額に伸ばしたレティシアの手を、ヘルメースは邪険に払った。
パシッという手の叩音とともに、「きゃっ」というレティシアの声が、微かに廊下に響いたが、周囲には誰もいない。
第6巻をナサニエルに返さなければ・・と思いながら、自室に向かって歩いていたレティシアは、そのときセイヴィアーのことをふと思い出していたこともあり、周囲には目もくれずにぼんやりと歩いていた。
しかし、前方から歩いてきた異母弟・ヘルメースが、少しふらつきながら歩いていることくらいは、すぐに気がついた。
レティシアは、ヘルメースの方へ足早に駆け寄った。
「ヘルメース。大丈夫?熱があるんじゃない?」と言って、額に伸ばしたレティシアの手を、ヘルメースは邪険に払った。
パシッという手の叩音とともに、「きゃっ」というレティシアの声が、微かに廊下に響いたが、周囲には誰もいない。