シンシアリー
「僕が大公になってこの国を支配することになれば、反逆者など正々堂々と処刑でき・・・」
「公子ともあろう御方が周囲に全く目を向けていないとは。注意力皆無。隙だらけですよ、ヘルメース公子」

レティシアの首を絞めることに夢中になっていたヘルメースは、人が来る気配を全く感じていなかった。もちろん声の主は、気配を消して近づいたのだが・・。
その抑えた「声」で、すぐ後ろに誰かがいることに気がついたヘルメースは、やっと手の力を緩めた。
しかしヘルメースはまだ、レティシアの首に手を回したままだ。
首にかけられていた強い圧迫から抜けたレティシアは、途端にゴホゴホと咳込んだ。
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