シンシアリー
「だ、誰だっ」
「まずは姫様からその手を離してもらいましょうか」
「・・嫌だと言ったら?」
「貴方を斬るまでの事」

あいにく、ヘルメースは剣を持っていない。
今は自分に不利だと判断したヘルメースは、レティシアの首からやっと両手を離した。
その場に崩れ落ちたレティシアは、自然に自分の首に手を当てながら、まだ咳込んでいる。
ユーグはすぐにレティシアの所へ行き、そっと抱き止めた。

「遅くなってすみません、姫様」
「・・・あなたは、必ず来てくれると・・信じてたわ・・・。ありがとう、ユーグ」


< 222 / 365 >

この作品をシェア

pagetop