シンシアリー
「それでは姫様。俺は」
「ユーグ・・・ここに、いてくれる?私、まだ眠れそうにないから・・」
「もちろん」と言って微笑んだユーグを見て安心したのか。
ベッドに横たわっているレティシアも、つられるように笑みを返した。

「そう言えば。なぜあなたは私を探しに来てくれたの?何か急用でもあったの?」
「あぁいやっその・・姫様を護衛することが正式に決まったので、俺も公邸に住まわせてもらうことにしたんです。もちろん、召使たちが使っている余り部屋に。それで今日の午後、あれから姫様と一旦お別れをした後、母がいるヴェルクストラ薬局へ行って、その旨を報告がてら、一緒に夕食を食べて、またここに戻ってきた次第で・・・早く貴女にも報告しておきたいなと。本当は明日から滞在する予定でしたが、一晩繰り上がりました」
「まあユーグったら。本当にせっかちなのね。でも、そのおかげで私は命拾いをしたんだわ・・・。もしあのとき、ヘルメースが剣や、何かしら武器を持っていたら、私は今頃、ここにはいなかった・・・」
「もしそうなっていたら、俺は姫様をお護りできなかったことを悔やみながら生きていかなければならなかった、と思い直すと、せっかちであることは満更悪いことではありませんよ」
「本当に」

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