シンシアリー
サナトリウムと医学の向上
レティシア姫が学ぶことになった北部にある学校の校舎は、元はラザラス伯爵家が別荘として使っていた館である。
その灰色の建物は、別荘故に少々小さく、いくらか年代を経ているため、古びて見えるものの、石造りのためか、とても頑丈にできている上、計30人以上はいる生徒を十分に収容できるくらいの大きさはあった。
学校初日。馬車から降りたレティシア姫は、感慨深い表情を浮かべながら、キレイに澄んでいるヘーゼル色の瞳で、灰色の学び舎を見上げた。
そのとき姫が両手を胸のあたりに添えていたのは、期待で弾んでいた胸の高鳴りを押さえるため、だったのかもしれない。

・・・今日から私は、ここで、皆と一緒に勉強ができるのね・・・!

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