君の彼女を僕にください



「大丈夫だった?」



「全然、大丈夫です!本当すみませんでした」


慌てて体制を立ち直すと、ペコっとお辞儀をした。


顔を上げた私を見るなり、グイッと私の顔を覗き込んでくる慶先輩。


「……あれ?今朝、ここでメイドさんやってた子?」


あああああ、もはや消し去りたい過去です。


「はい……」


灰になって消えて居なくなってしまいたい気持ちをおさえ、消え入りそうな声で答えた。


そんな私を気に留めず、



「やっぱり!!今朝、琥太郎の事を見に来たんだよね」



と、めちゃくちゃ爽やかな笑顔の慶先輩。


消えちゃいたい私に、更に衝撃の一言。



「いま、時間ある?何かお詫びしたいから……」



そう言って、受付に居た稜に

『これから、2人大丈夫かな?』

と、聞いていた。


えええ、はやっ!!!


「えっ、いや……そんな……」


教室を見ると、中にいる先輩との噂があった人が……


突き刺さる視線。




こわっ!


これヤバイって!!


もう、色々ダメな気がする!!


噂は本当なんだと、妙に納得してしまう。

慌てて断ろうとした私をよそに、稜は



「大丈夫ですよ」



と営業スマイルに。



もうっ、気を利かせてよ〜〜!!



すると、稜の後ろからスッと顔を出す聖也。



「すみません。こいつ実行委員なんで、これから必要なんですよ」






< 12 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop