ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「本当に、モノがココロを手に出来るんですか?」

向き直って尋ねた。

「それはハッキリしてるよ。モノがココロを持てるって事は、ボクは疑ってないからね」

と声を張って答える所長。一体その自信はどこから来るんですか?

「どうしてそこまでハッキリ言えるんですか?ロボットっていう『モノ』がココロを持てるって」

と手を広げて疑問を投げた。と、所長が首を振って返してきた。

「いやいや、違う次元の話だよ。ロボットに限らず、この世の中に存在する『モノ』がココロを持てるのは明らかだって言ってるんだよ」

と落ちついた口調で返してくる所長。そこまで話がいくと違う気がするんですけど。

「どうしてですか?『モノ』がココロを持てるって、どうして言い切れるんですか?」

問い掛けると、所長が手にしたグラスに浮かぶ氷をカランと響かせてきた。

「じゃあ聞きたい。ボクは生命科学について詳しいわけじゃない。でも子供の頃からの疑問はある。地球が誕生して、物質だけだった世界に始めて生命が生まれた時、それまで『モノ』に過ぎなかった物が、なぜ急に意識を持つことが出来たんだろう」

とじっと見つめてくる所長。

「う、…」

僕は答えられなかった。
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