ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「でも、難しいんじゃないですか。キカイの『感じるココロ』を作り出すなんて」

到底ムリなように思えますけど。

「ああまあね。だけど諦めたくはないよ。何とかして感じるココロを手に入れたい。それがここにいるボクら全員の願いなんだ。何としてもその願いを叶えたいんだ」

と、所長が一度首をフッと振った。

「その為には一体どうしたらいいのか。…正直なところ、今の段階では手がかりらしいものは何もないよ」

と、所長がパッと顔を上げてまじまじと僕に視線をぶつけてきた。

「だけどきっと見つけ出せるさ。これから君との最終の耐久試験の間に何とか形にしたいって思ってるんだ。ウン」

と大きく頷いて僕を見る所長。それはひょっとして、僕に何か期待してるって事ですか?

「僕に、人間行動学の立場から助言をと?」

そう言われても困りますけど。

「いやいやいや、それは違うよ」

と所長が首を振って返してきた。

「えっ?」

違うんですか?

「そうだよ。だって、いきなり君にそんなプログラムの設計を手伝ってくれなんて言ったって、出来ないだろう?」

とニッコリ微笑んでくる所長。

「そりゃまあ、そうですけど」

こんなハイテクの塊のロボットの事なんてまるでわかりません。

「そりゃね、何か手掛かりぐらい見つけてくれないかなって期待はしてるけどね。でもそれは、君が力を注ぐべき課題じゃないよ」

と、所長が僕の前に立って指差してきた。
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