ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「ミライには、ずっと先生の傍にいて欲しいからよ」

ってどうして。

「何でそんな事言い出すんだよ」

小首を傾げると、広海君が微笑んで返してきた。

「だって、ミライが相手ならいくら先生が熱を上げても、ホントの婚姻届は出せないでしょ」

ん、そりゃそうだ、ロボットなんだから。

「だから、ミライが先生をしっかり掴まえててくれれば、これから私がここに篭ってる間に他の誰かに取られたりしないじゃない。ね♪」

ってじゃあ、本気で結婚を考えてるのか。

「ンフフ~」

って、マンザラ冗談でもない様子。

「ほら、ミライも嬉しそうにしてるじゃない。あなたと別れる事になって涙するぐらい悲しんでたんだから、喜ばせてあげてもいいんじゃない?」

とニヤけながら背中を押してくる広海君。

「ん、まあ、確かに」

これぐらいやってあげてもバチは当らないかもな。

「ほら、みんなだって望んでるんだし」

と周りの研究員たちが盛んに囃し立ててくる。

「そうだね…。ここは一つ、」

みんなにノセられてみるかな。
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