ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「じゃあみんな、ちょっと早いけど、晩ご飯でも食べて帰るかい?」

と振り返ってニッコリと微笑む所長。

「それなら所長」

と、クワンと本田君の声がピッタリ重なった。

「ぼくたちはいいですよ」

「ちょうど見たい映画があるの。奢ってくれるって事らしいのよ。ね?」

とクワンが本田君の肩に手を掛けて横目で寄り添った。ちょっと強引にねだってる?

「ええっ?!…まったくもう、しょうがないなぁ」

と頭を掻く本田君だけど、表情は満更でもなさそう。

「やったぁ」

とテヘヘッと笑って本田君の手を取るクワン。彼女もなかなかヤリ手だな。

「じゃあ、二人で楽しんでおいでよ」

と所長が二人の肩をポンッと叩いた。

「はあい」

と楽しそうに手を振って、歩いて来た通路を戻っていく二人。見送るミライも二人を写したように楽しげな様子で手を振ってる。

「じゃ、帰ろうか。送っていくよ」

と振り向いた所長の声に、ミライが笑顔でついて歩き始めた。周りの賑やかな雰囲気にもすっかり馴染んで、誰も疑って見る人なんていない。

(…楽しく一日を過ごしました、って感じかな)

さあ、これからだ。これから、ミライと一緒に過ごしていく事になるんだ。
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