ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「あ、ああ、うん」

生返事で頷くと、ミライがスーツケースを開いてそそくさと準備を始めた。

(なんだ?フロにも入るのか)

所長の話で人間らしいキカイだとは思っていたけど、まさかフロにまで入るとはね。

(フツーの女の子だよなー)

ロボットなんだけど、フロにも入るし化粧もするしお洒落な服も着る。そこらへんはフツーの若い女の子と変わらないんだ。

(気を遣うよ…)

ミライという名の、世界唯一のロボットが今、僕の目の前にいる。

(きっと、莫大な研究費をつぎ込まれてるに違いないよな)

そんなロボットと毎日を一緒に過ごして面倒を見ながら、僕は僕で今まで通りの生活をこなさなくちゃいけないんだ。

(ただでさえアイツを相手に大変だってのに、ミライを交えて様子を観察しろって言うんだろ?それも周りにバレないようになんて…)

どうなんだ?ホントに出来るのか?そもそも大学なんかに連れてって大丈夫なのか?

(いくら見た目じゃわからないって言っても、この感じじゃ会話が上手く弾むとは思えないし…)

第一、ロボットだって事自体のハンディがある。食事は一緒に取らないように避けないとイケナイし、ひょっとしたら、途中で動かなくなってしまうかもしれないし…。

(どうなるんだよ~、これから…)

リビングのソファに倒れ込むようにドサッと横になって、そのまま天井を見上げた。
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