ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「あ、うん、カンパーイ」

と声を上げた広海君と揃ってジョッキを口へ運んだ。

(く~っ)

冷えたビールがひときわ美味い。横でミライもクッとグラスを傾けた。とその様子をカウンターの向こうから窺っていたマスターが、ほぅ、と感嘆の表情を見せた。

「ねぇ、ホントにそのお酒強いの?」

と眉尻を吊り上げて疑いの声を掛けてくる広海君。

「…じゃあ、ちょっと一口飲ませてあげてよ」

と振り向いてミライに声を掛けた。ここはあれこれ言うより、実際に口にしてもらうのが一番だ。

「うん」

頷いたミライがグラスを手渡す。と受け取った広海君がそっと一口、口に含んだ。

「ゲホッ、」

とたんに女の子らしくないムセ方で激しく咳き込む広海君。

「つよ~い…。私、結構お酒に強い方だけど、これはムリ」

と涙目でムセながら、広海君が手に持ったグラスをスッとミライへ返した。

「ありえなぁい。尊敬するわ、ミライさんのこと」

とか細い声で返した広海君が、パスタが出てくるまでずっとムセ続けていた。
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