ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「さぁさぁ、こんなふたりは放っときましょ」

「そうね」

「ボーリングの方がいいわね。さぁ、上に行きましょ」

と広海君が先頭を切ってみんなを階段の方へ連れて行こうと歩き出した。

(えっ、ボーリング?)

考えた。ミライがボーリングをしたらどうなるか。

(全部ストライクになるんじゃないか?)

ロボットだから狙いは正確。いくら何でもいきなりパーフェクトはちょっと。

(マズイマズイ)

慌てて、上へ続く階段を足取りも軽く上り始めた広海君を引き止めにかかった。

「なあ広海君、ボーリングじゃなくて、何か他のにしないか」

と声を掛けたが、広海君は相手にしてくれない。

「どうしてぇ?体も動かせるし、ストレス発散には丁度いいじゃない」

と腕を振りながら階段をズンズンと上って行く広海君。

(いやいや、)

マズイぞ、ここは何とか切り込まねば。

「いやほら、ミライがボーリングやった事ないんじゃないかって思うんだよ。なあ、ミライ」

と後ろについて階段を昇って来るミライに声を掛けた。

「うん」

と頷き返してくるミライ。

「えっホントに?一度もやった事ないの?」

と聞き返した広海君に、ミライが頷いてみせた。

「うん。一度も」

と真顔でミライが返すと、広海君がパッと僕を振り返った。
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