ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「だったら、先生が教えてあげたらどう?」

とニコヤカに言う広海君。

「えっ!」

そう来るのか!

「ね、ボール投げるだけだから簡単でしょ。それにほら、手取り足取り教えてあげればふたりの距離だってグーンと近くなっていいじゃなぁい。ふたりで仲良く楽しめれば点数なんて関係ないって!」

とニッコリ笑顔の広海君。

(トンでもない)

その点数が大事なんだよ。

「いや広海君、そうは言うけどさ、…」

と渋っては見たものの、続ける言葉が出て来ない。そうこうしている内に階段を昇り切ってしまったじゃないか。

「ほら、ヨッシーたちもこっちに来るみたいよ」

と広海君の声に振り返ると、ヨッシーと彼がじゃれ合うように階段を上って来ていた。

「ねぇヒロ、レーン空いてるー?」

と聞いてくるヨッシー。フロアーを覗くと、並んだレーンの中で数組のグループがはしゃいでいるのが見えた。と、広海君が上って来るヨッシーたちに手を振り返した。

「空いてるみたーい。私受付してくるから、ボール選んでてー」

と足取りも軽く受付のカウンターへと走っていく広海君。

(マイッタな…)

もう話は決まってしまっていた。ルミちゃんやヨッシーたちもバラバラとシューズやボール選びに向かい出してる。

(どうする)

堪らずミライの顔を見た。口元に微笑みを浮かべたミライが、楽しげな様子でこっちを見上げてる。

「どうすればいいの?」

と小首を傾げるミライ。ホントになんにも知らないようだ。どうしよう。

(…う~ん仕方ない、なるべく倒さないように教えるしかないな)

ストライクを「狙わないように」教えればいいんだ。
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