探偵喫茶へようこそ


今回は心配が過ぎる、と知由は思った。


そればかりか、心配してくる雪兎が鬱陶しく思った。



「警察に行くだけ。どこが危険なのだ」



そのせいで、少し口調が厳しい。



「だって、ちぃちゃんを狙ってるって……」



目を伏せる雪兎は、まるで知由にいじめられているようだ。


そしてウサギというあだ名に相応しくなっている。



「……わかった。警察に話したらすぐ戻ってくる。それでいいか?」



それでも妥協案だった。


知由は警察に話したあとも、そこで捜査を続けるつもりだったのだ。



でも、雪兎は俯くだけで何も言わない。



「ウサギ」



次第に苛立ちを覚え、本当に叱っているような感じになった。



「仲間外れにされていじけてんだ。そう言うなよ」



見兼ねた海が、知由に耳打ちする。



雪兎ならそう思っておかしくないと思い、知由はため息混じりに言った。



「……では、閉店後にウサギと行く」


「うん!」



すると、雪兎は満面の笑みを見せた。


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