探偵喫茶へようこそ


「洋一くん……ありがとう」



それにつられるように、夢里も微笑んだ。


だが、若干目に涙を浮かべている。



洋一の言葉が相当嬉しかったのだ。



「ま、正直自信ないけど」


「それは私も一緒だよ」



それから二人は夢里の実家に行き、事情を話した。


夢里には母親しかいないため、一対二の状態だった。



「夢里……あなた、何考えてるの!」



全てを聞き終えた母親、京子は、大声をあげた。



お母さんも喜んでくれる、協力してくれると心のどこかで思っていた夢里は、この反応に体が強ばった。



「あなたはまだ高校生なのよ!? それなのに、妊娠するだけじゃなく、その子を育てたいだなんて……無理よ!」



だが、その言葉を聞いて、夢里は反論せずにはいられなかった。



「そんなの、やってみないとわからないでしょ!?」



夢里が言い返してくるとは思っていなかった京子は少し驚いた。


そして、頭を抱えてため息をついた。



「その子を育てるお金は? 環境は? 本当に、あなたの力で育てられるの?」



夢里は返す言葉がなくなり、下唇を噛んだ。



「子供が子供を育てるなんて出来ないのよ」

< 123 / 156 >

この作品をシェア

pagetop