探偵喫茶へようこそ



そして五年の月日が流れた。



夢里は手元に残っていた、数枚の知由の写真をお守りに、高校を卒業し、女優を目指してきた。



そしてやっと、『夢郷未咲』の名が有名になり始めた。



「お母さん! もう、知由を預けた施設、教えてくれてもいいでしょ……?」



夢里はリビングでテレビを見ていた京子に、尋ねた。



女優としてはし役だったが、ドラマに出演した日から、夢里は何度も同じ質問をしてきた。


初めは二ヶ月に一度。


それが毎月になり、二週間に一度……と、徐々にこの質問回数は増えていった。


そして、とうとう毎日のように聞くようになった。



「……そうね、わかったわ」



京子は立ち上がり、手帳に挟んでいた地図を夢里に渡した。



「ここに預けたわ」


「洋一くん!」


「早く行こう」



二人はいてもたってもいられず、家を飛び出した。

< 130 / 156 >

この作品をシェア

pagetop