探偵喫茶へようこそ


「嫌……帰れない……知由に会ってない……!」


「夢里、もう会えないんだ。帰ろう?」



洋一は宥めるように言ったが、夢里は怒られているように感じてしまった。



「いやぁあああ!」



夢里は出せる限りの大声で叫んだ。


それは洋一の悲しみにも触れるような、叫び声だった。



「もうずっとあんな感じなの……?」



部屋の端に置いてある椅子に座り、空を見上げる夢里。


そんな夢里は、心ここに在らずという感じだ。



悲しみで溢れている夢里を見て、京子はそっと洋一に聞いた。



「はい……」



洋一もまた、暗かった。



「そう……悪いことをしたわ。まさか、知由が引き取られてたなんて……」



京子の言葉に、洋一は引っかかった。



「お義母さん、何年後かに引き取りに来ると、言ってなかったんですか?」



「……知由と、知由の名前を書いた紙を置いて、私は逃げたのよ」

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