夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「……俺に犯罪者になれと?」
「えっ?大丈夫だよ!
あと10年……?いや、15年位経てば年の差なんて!」
「時が経っても年の差が縮まるか!
俺をロリコンにしてぇのかよ、お前はっ……」
馬鹿馬鹿しくて相手に出来ない。
この話は止めにしようと、飲み物を買いに行く為に花壇から立ち上がろうとした俺に、ギルが言葉を続ける。
「世の中、何が起こるかなんて分からないじゃない」
「……」
「僕とヴァロン君が出会って、一緒に夢の配達人をやってる。
数年前は想像もしなかった事が、僕には起きたよ?」
そう言ったギルの言葉が妙に響いて、俺は振り返った。
目が合ったら、「ねっ?」ってギルが笑ってて……。
一瞬、「そうだな」って言いそうになった。
「……ガキはお断りだよ」
けど。
俺はフッて笑って、結局話を逸らしたんだ。
これが、ギルとまともに顔を合わせられた最期の日だという事も知らずに……。
〈回想終了〉