夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【アルバート別荘休憩室】

あれから、15年過ぎた。
今ここで俺がこうしている事は、偶然じゃなくて必然なのかな。


「……部品、買いに行かなきゃな」

机の上に置いた宝石箱を見つめながら、俺は呟いた。

……。

なぁ、ギル?
お前の想い、俺がアカリに伝えるよ。
この宝石箱に詰まった愛を、ちゃんと届ける。


世の中、何が起こるか分からない。

ほんとだな。
俺とアカリが出会い、この宝石箱が時を経てまた目の前にある。
不思議な巡り合わせが重なって、自分では想像もしていなかった未来が築かれて行くーー。


”ガキはお断りだよ。”

来年の3月3日。
時を経て、俺はその言葉を訂正する。

今度は素直に言うよ。
あの時口に出来なかった、”そうだな。”って言葉を……。

お前がいる空に向かって、永遠の愛を誓いながら……。


【終わり】
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