夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【洋食店】

マオ様が召し上がりたいと言ったのは、ふわとろ玉子が乗ったケチャップオムライスだった。
正面の席に座り、運ばれてきたオムライスをじっと見つめるマオ様を私も見つめる。

本当に不思議な事だ。
オムライスにだって色んな種類がある。
デミグラスソースやホワイトソース、更に中のご飯がピラフのようだったりバターライスだったり……。

食に興味など全く示さなかった方が、まさか食べたい物をここまで具体的にあげるなんて。


「さ、マオ様。
温かいうちにお召し上がり下さい」

「うん。頂きます」

様々な事に驚かされながらも私がすすめると、マオ様はスプーンを片手にし、ふわとろの卵を崩してケチャップライスと絡めながら一口。

ゆっくり噛んで、静かに飲み込み、首を少し傾げたと思ったら……。また一口。

「いかがですか?」と尋ねようとした時、フッと微笑んだマオ様が呟くように言った。
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