夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「……やっぱり、違うなぁ」
「!……え?」
「似てるんだけどね。……違うんだ」
”違う”の意味が分からず黙ったまま呆けていた私に、マオ様が話を続ける。
なんでも先程話に出てきた子猫を引き取ってくれた方にオムライスをご馳走になり、それがとても美味しかったとの事。
それ以来また食べたいと思い、屋敷の使用人達にもどんな感じか説明して作ってもらったが、どうも何が違うらしい。
「……きっと、その方だけが知る隠し味があるのかも知れませんね。
家庭の味と言いますか、その人が作る独特の工夫といいますか」
私の言葉に、マオ様は「そっか」と残念そうにしながら再びオムライスをゆっくりと口に運ぶ。
主人が望んでいる品を用意出来なかった事に悔しいような申し訳ない気持ちが広がるが、それをキッカケにこうしてまともに食事をして下さる姿を目にする事が出来た事は素直に喜ばしかった。